目撃証言で見る7・16襲撃 |
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1・イヤな感じ
(玄田 生・漫画家)
5時すぎにロフトに行ったら、目付の鋭い若者が5〜6人ほどビルの前にいて、入る人をチェックするように目を光らせていた。イヤな感じだなと思った。
店に入りその日の出演者である高沢皓司さんら数人と、あいつらなんだろう、と話をした。その日のテーマが『北朝鮮とよど号グループ』だったので、その方面で自分が狙われているのでは、と高沢さんは心配していた。(川畑栄郎・来店客)
原チャリを押しながらロフトの前まで来たら、入り口の前に7月8日(荒・鈴木対談)の時に来ていたブントのメンバーがいた。あれ、何でこんなところにいるのかな、と思ってよく見てみると、他に2人ほど人が立っていた。
そのブントメンバーは、8日のイベント終了後にしばらく立ち話をしたので間違いないです。Hさんと名乗り、アルティメット(格闘技)をやっていると言っていた。(脇田 敦・ロフト店長)
5時くらいにロフトに来た。ビルの外に何人か立っていて、入り口を入ってすぐの所にさらに1人いました。あれ、変だなと一瞬思った。あのあたりは人通りはあまり無いので、そんな風に人がいるのは珍しいんです。
2・配置
(脇田)
6時頃、高沢さんが、外に居る連中はイベントを妨害しに来たのではないか、というので様子を見に行った。入り口すぐの階段を昇り、踊り場の窓から下を見おろすと、確かにその人たちはキレイに配置されているように見えました。正面の横断歩道の両端に1人ずつ、向かって右の路地の角に1人、入り口に1人、中に入って階段に1人、さらにぼくの立つ窓の近くにも1人立っていました。その人は30才ぐらいの大柄の人で、手には手袋をはめていました。ぼくが『何をしているんですか』とたずねると『人を待っているんです』と答えた。(玄田)
その後、表に様子を見に行くと、例の若者たちは夏だというのに軍手をはめていることに気づいた。その時『よう』と声をかけられて振り向くと、昔からの友人で現在ブント幹部のG君が立っていた。しばらく、そのままビルの前で世間話になった。
3・襲撃
(玄田)
7時すぎ、佐藤君が「おーい」と叫びながら横断歩道を渡って来た。「遅れた、遅れたー」とか言いながら、ビルの前まで来た瞬間、「来たぞ」という声が飛び、どこにいたのか大勢の男たちが現れて、あっという間に佐藤君はドアに押しつけられて、そのまま地下に運ばれていってしまった。ぼくはその時はじめて、Gがいた意味、若者たちの正体に気がついた。店内に助けを呼びに行こうとしたら、後ろから羽交い締めにされた。(佐藤悟志・襲撃被害者)
高沢さんとの打ち合わせのコピーをつくるのに手間取って遅れてしまい、ロフトについたのは7時すぎだった。横断歩道を渡る途中からビルの前に何人か立っていることは分かったが、特に意識はしなかった。ビルの前まで来ると、Mが立っているのに気づいた。Mは僕が「神奈川労共闘」(ブントのフロント組織)にいた時の先輩で、8日にも来ていた。ああ、イベントを見に来たのだなと思って、「おつかれさん」と声をかけながら通り過ぎようとすると、Mが行く手をふさいだ。「アレッ」と思うと同時に後ろから集団で押されて地下に連れて行かれた。(脇田)
7時すぎ、外が騒がしくなり、さらに玄田さんの叫び声が聞こえた。あわてて飛び出すと、玄田さんは二人の男に羽交い締めにされ、口を押さえられていた。玄田さんは、必死でもがいて口をひらくと「佐藤が下でやられてる。警察を呼べ」と叫んだ。(佐藤)
階段で突き落とされて転んでしまった。倒れたところに何人かが蹴りを加えてきた。丸くなって急所を守るのが精一杯だった。(脇田)
男たちをすり抜けて地下室に降りると、佐藤さんがうずくまっていて、3人くらいに囲まれて蹴られていた。「やめて下さい。こういう騒ぎがあると近所の人がすぐに警察を呼びますから、出て行って下さい」といった。その時、上から誰かが合図したらしく、男たちは一斉に引き上げていった。(玄田)
羽交い締めにされてもがいていたら、指揮者らしい中年の男が「やめろ、そいつは違う」と叫んで、すぐに放された。店内から騒ぎを聞きつけた人々がやって来ると、彼らは四方八方にクモの子を散らすように走り去っていった。(玄田)
襲撃者の人数は5時頃に見た5〜6人よりはずっと多かった。その倍はいたと思う。(脇田)
見張りも含めて10人はいたがそれ以上は分からない。(佐藤)
ブントの連中が消えた後でI君が催涙スプレーを拾ってくれた記憶があるので、ポケットから落ちたのは確かだと思うけど、結局使う余裕はなかった。特殊警棒もポケットに入れていたけど、その上から蹴られて痛いだけだった。※催涙スプレーについては、そうした臭いはしなかったと、地下室に降りた脇田氏を含め、現場に居合わせた人、あとから駆けつけた人の全てが証言している。
※脇田氏に続いて店員の梅造氏や常連客4〜5人が現場に到着。走り去るブント部隊を目撃している。