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　殴られたファシスト、そのとき僕は…！　

　大石ノリオ　

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　今回被害に遭われた佐藤さんとは、七年ぐらいの付き合いだと思います。佐藤さんと知り合った当時の僕は、まだ何も知らない右翼青年でした。そのとき通っていたＩ会の勉強会で、佐藤さんと知り合ったのです。現在ファシストとして活躍される佐藤さんですが、当時から過激な言動で周囲を驚かせていました。故野村秋介氏にも、堂々意見していたのを思い出します。
　そんな佐藤さんですが、以前は新左翼グループ「戦旗」に属すという経歴もあり、その前科が今回「ブント」のメンバー及び代表者である荒岱介氏と揉める原因になったようです（ちなみに「戦旗」と「ブント」は同じグループです）。
　さて、現在様々な局面で誤解される佐藤さんですが、彼の本当の姿を知る僕としては、そのような誤解が悲しくてなりません。佐藤さんが自身の過去を反省するあまり、思いあまってファシストになった事実をここに記しておかねばなりません。僕なんか、右翼であった過去を何ら振り返ることなく、人生とは冒険ではなく乗客のようなもの、などの勝手な論理で転向ばかりしています。が、佐藤さんは違うのです。
　己を深く罰する彼は、自分と同罪の「ブント」たちにも同様なる反省を迫りました。それが97年７月８日、ロフト・プラスワンで佐藤さんが荒岱介氏と揉めたことの真相です。
　結果、７月16日には同所で待ち伏せしていた十数名の「ブント」たちによって、佐藤さんは二度も返り討ちにされてしまいました。
　僕は、一度目の襲撃のとき身近に居なかったのですが、二度目の襲撃の際は現場に居合わせておりました。正直言って、佐藤さんが殴られはじめた三秒程の間、目の前で何が起こっているのか解らず、ボーッと見とれてしまいました。そのため助けに出るのが遅れ、ようやく僕が犯人の一人を押さえたとき、すでに佐藤さんはかなりヤラれていたのです。おまけに犯人らと揉み合ううち、誰が犯人だったか見失い、取り逃がすという失態まで犯しました（その勇姿は、当日の企画を撮影したビデオでご覧になることかできます。黄色いＴシャツに黒ぶち眼鏡で闘っているのが僕です）。
　またもや言論の自由が暴力によって踏みにじられたわけで、それを目の前に居ながら防げなかった僕は、自身の無力に悔いが残る次第です。
　さて最後に、傷ついた佐藤さんに僕から送るメッセージです。
　できれば佐藤さんには、ファシストなどの恐ろしい姿でなく、本当の佐藤さんとして周りの人と接して欲しいのです。僕が今や右翼でも左翼でもなく、普通の大人になれたのは、佐藤さんと巡り会ったお陰なのですから。佐藤さんはファシストらしからぬ豊かな交友関係をお持ちです。佐藤さんと知り合うことで多くの人と交流するきっかけになり、様々な彼らの思想を遍歴するうち、ついに思想というものを相対化し、乗り越えることができました。今ではすっかり素直です。本当に有り難う。そしてこれからも、よろしくお願いします。

「共同声明」スタッフの皆様
　スタッフの皆様、本当にご苦労さまでした。殴られた佐藤氏には気の毒ですが、騒動以後のブント派との文戦等、良質のアクション映画でも見る気分で楽しんでまいりました．賛同人名簿なども、怪しげな人物が並ぶのを何度も読み返し、独り笑い転げておりました。
　楽しい運動でした。